2013年7月2日火曜日

事後確率とモンティ・ホール問題

 ベイズ確率でいうところの事後確率の例として、モンティ・ホール問題はよく用いられる。何も情報がないとき(事前確率)と、ドアが開けられるという情報を得たとき(事後確率)で確率に変化があるためである。

 3つのドアをA, B, Cとし、それぞれが当たりである確率を$P(A), P(B), P(C)$とする。まず、何も情報がないとき、すなわち司会者がドアを開ける前の状態では$P(A)=P(B)=P(C)=\frac{1}{3}$である。仮に自分はドアAを選択し、司会者がBのドアを開けたとする。つまり「Bがハズレである」という情報を得たのである。この情報をDとする。つまり、条件付き確率$P(A|D)$および$P(C|D)$が、それぞれドアAに留まる場合およびドアCに変更する場合の事後確率となる。

 まずは、$P(A|D)$をベイズの定理と確率の加法・乗法定理でこねくり回していく。
$$P(A|D)=\frac{P(D|A)P(A)}{P(D)}=\frac{P(D|A)P(A)}{P(D, A)+P(D, C)}=\frac{P(D|A)P(A)}{P(D|A)P(A)+P(D|C)P(C)}$$
 ここで、$P(D|A)$はAが当たりだった時に司会者がBを開ける確率のことであるので、$P(D|A)=\frac{1}{2}$。同様に$P(D|C)$はCが当たりだった時に司会者がBを開ける確率のことであるので、$P(D|C)=1$である。これらを代入すると、
$$\frac{\frac{1}{2}\cdot \frac{1}{3}}{\frac{1}{2}\cdot \frac{1}{3}+1\cdot \frac{1}{3}}=\frac{1}{3}$$
となる。というわけで、ドアBが開けられた後にAが当たりである条件付き確率$P(A|D)$は$\frac{1}{3}$である。同様に$P(C|D)$を考えていくと、
$$P(C|D)=\frac{P(D|C)P(C)}{P(D)}=\frac{P(D|C)P(C)}{P(D, A)+P(D, C)}=\frac{P(D|C)P(C)}{P(D|A)P(A)+P(D|C)P(C)}$$
となる。同様に代入すると、
$$\frac{1\cdot \frac{1}{3}}{\frac{1}{2}\cdot \frac{1}{3}+1\cdot \frac{1}{3}}=\frac{2}{3}$$
となる。というわけで、ドアBが開けられた後にCが当たりである条件付き確率$P(C|D)$は$\frac{2}{3}$である。

 このように、情報Dが得られたことによってドアCが当たる確率$P(C)=\frac{1}{3}$は事後確率$P(C|D)=\frac{2}{3}$へと変化するのである。