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2014年1月8日水曜日

カタンのもやもやをカイ二乗検定で解消する

 最近、カタンの開拓者たちというボードゲームをやり始めた。これはプレイヤー同士で資源を稼ぎ合い取引し自分の文明を発展させていくゲームである。このゲームはサイコロの目によって資源の配給が変わる。したがってサイコロの目が勝敗を左右する重要なポイントとなる。サイコロは1~6の通常の六面体のものを2つ使い、その合計値がキモとなる。つまり、2~12の目が出るということである。この場合、サイコロを振って出る目の合計は各試行で独立であるため、出目の確率は次のようになるはずである。

出目 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
確率 \frac{1}{36} \frac{2}{36} \frac{3}{36} \frac{4}{36} \frac{5}{36} \frac{6}{36} \frac{5}{36} \frac{4}{36} \frac{3}{36} \frac{2}{36} \frac{1}{36}

 ところが実際にゲームをやってみると、サイコロの出目に偏りがあるように感じてしまうのである!6, 8の陣地を押さえているのに資源が全然入ってこないとか! これは思い込みなのか被害妄想なのか本当にサイコロの重心に偏りがあるのか、今回はそれを確かめる。
つまり、「これらのサイコロの出目には偏りが無い」という帰無仮説H_0を立て、カイ二乗検定によって判断するのである。サイコロを1000回振り出目の合計を観測した。 結果は以下のようになった。

出目 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
試行結果X 29 45 91 120 158 179 132 100 67 51 28

 先述の通り、サイコロの出目がランダムであるならば、期待値Eは次のようになる。

出目 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
期待値E 27.8 55.6 83.3 111.1 138.9 166.7 138.9 111.1 83.3 55.6 27.8

 これらのデータからカイ二乗検定によって試行結果が妥当なものであるかを確かめる。 カイ二乗値は次のようになる。カイ二乗値とは、試行結果Xと期待値Eの差を二乗して期待値Eで割った値を合計したものである。

出目 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 カイ二乗値\sum\frac{(X-E)^2}{E}
\frac{(X-E)^2}{E} 0.052 2.021 0.712 0.713 2.626 0.908 0.343 1.109 3.190 0.381 0.001 12.055

 この実験でのカイ二乗値は12.055となった。これを自由度k=10, 有意水準p=0.05のカイ二乗分布と比較する。カイ二乗分布表を参照すると、18.307である。この結果、12.055<18.307であるため、「これらのサイコロの出目には偏りが無い」という帰無仮説は棄却されず、サイコロの出目については有意差は得られなかった。

 サイコロはほぼ期待値通りの目を出しており、「資源が入ってこない!」「サイコロがゆがんでいる!」という思いは単なる被害妄想だったのである。